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2025.06.27

社長ブログ202506☘「長く会社を経営していてなんでこれだけしか社員がいないのか?」

社長ブログ202506☘「長く会社を経営していてなんでこれだけしか社員がいないのか?」

「長く会社を経営していてなんでこれだけしか社員がいないのか?」
というようなニュアンスの質問を学生から受けた、という経営者の方のSNS投稿を見かけました。身につまされる話ですが、自分ならどう答えるだろうか、と考えてみました。

長年続いている会社の規模がなぜ大きくなってこないのかと問われれば、経営者がリスクを取って新事業の開拓やシェアの拡大を積極的に求めてこなかったから、ということになると思います。

これが悪いことかと言えば、一概にそうは言えません。過大なリスクを取って新事業やシェアの拡大に挑戦するということは、会社を危機に晒してしまう可能性も高くなるということです。今の事業に対して適切な規模を維持し、製品、サービスの供給や雇用を守るということは、常識的な経営判断であることが多いと思います。

あと、リスク選好タイプの経営者の下で働くのは、スリリングで楽しい経験かもしれませんが、会社がリスクを取っている以上は、メンバーもより必死に、より大きな成果を求められるプレッシャーに晒される可能性が高いでしょう。上手くいけば成功した企業の初期メンバーに名を連ねるという大きなリターンが得られる可能性もありますが、一般的な感覚を持った人にはあまり向かない働き方ではないでしょうか。

私は2014年に事業を承継して経営者になりましたが、ずっと大きなリスクを取らないタイプの経営者としてやってきました。お陰で、この10年で会社の規模はほぼ変わらずですが、なんとか黒字を確保しつつ、産学連携や障害者雇用の分野では社会的に良好な評価を頂ける良い会社になってきていると思います。

ずっとそれでよいと思ってきましたが、最近は少し考え方が変わってきました。それは、「過大なリスクを取らずに会社を守ってきた」といえば聞こえはいいですが、言い方を変えれば「地域に『優良な雇用を生み出す』という責任を果たしていない」ということではないか?と思うようになってきたからです。

ことに、ここ数年、働きづらい事情を持った方々の就労支援に関わる中で、雇用を作ることの大切さを感じるようになりました。単に雇用と言っても、人が労働力という資本を増やすためのコマではなく、人間らしく生きるための社会の中での活躍の場になる、そういう優良な雇用を作ることが本来の経営者の仕事なのではないかと最近は思っています。とってもやはり身の丈に合わないリスクは取れないので、行政の補助金を利用したり、他の中小企業や福祉とも連携してリスクを抑えてチャレンジすることになると思います。

それにしても、冒頭の話に戻りますが、この学生さんの質問は、素朴ですが非常に芯を食った良い質問だと思いました。経営者の方にこういう質問をぶつけてみると、その方の本質が見えるかもしれませんね。

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