社長ブログ202609「社会人の交渉術」
交渉に際して、最初に大きな要求をして、それを断られた後に本命の条件を提示する「ドア・イン・ザ・フェイス」だとか、相手が簡単に「イエス」と答えられる質問を何度も投げかけて、本命の要求の時に「イエス」を引き出しやすくする「イエスセット法」とか、人間の心理を利用した交渉術があります。ハウツー本や物語などでこれらの手法が登場する場面も見かけますが、実際、ビジネスにおいてどのくらい有用でしょうか?
これは私の考えですが、この手の人間の心理を利用した交渉術というのは限られた条件でしか活用できない手法だと思っています。なぜかならば、こういう手法を使っているということを相手に気づかれた時点で警戒されたり、信頼を損なうからです。
常に初対面の新規顧客を相手にし続ける商売だとか、無作為の多数の顧客を相手に広告を打って、そのうち数%が顧客になれば成功、というスタイルのビジネスであればこういう交渉術も有効かもしれません。
しかし、ビジネスの多くは、限られた顧客にリピーターになってもらうことで成立しています。こういうビジネスは、築いてきた信頼関係の上に成り立っているものなので、相手をコントロールする手法が露見した時の信頼を損なうリスクがメリットと全く釣り合っていないと私は思ってます。ましてや、自社の同僚や上司相手に使うのはあまりにもハイリスクすぎますね
それよりも、もっとシンプルで誰にでも使いこなせる上に、非常に強力な交渉術があると思っています。それは「絶対に嘘をつかない」ことです。相手から「この人は嘘をつかない」と信頼してもらえると、相手が困りごとを抱えている時に相談してもらえる可能性が高いですし、無駄な腹の探り合いも省けるので、商談における非常に強い優位性を持つことができます。
ただこれは「馬鹿正直である」ということとも少し違って、相手に「自分は嘘をつかない人間ですよ」という印象を戦略的にアピールすることが必要になってきます。そういう意味ではこれも立派な「交渉術」だと思いますね。なので、私もいつも社内で「お客さんに嘘をつくのは絶対にダメだよ」と社員に伝えています。←戦略的なアピール

